尿酸酸化酵素の発現が生物種によって異なる遺伝子背景を明らかにするために、ウサギの同遺伝子の構造解析を引き続き行なった。 まずウサギ肝臓よりDNAを抽出し、ラムダファージをベクターとする染色体遺伝子ライブラリーを作製した。このライブラリーは独立クローン数から目的の尿酸酸化酵素遺伝子を単離できると判断されるものであった。 つぎに、すでに単離解析済みのウサギ尿酸酸化酵素の全長cDNAをプローブとして染色体遺伝子ライブラリーをスクリーニングした。その結果、独立の2個のゲノムクローンを得ることができた。そこでサブクローニング、塩基配列の決定を繰り返し、これらの染色体遺伝子断片の構造解析を行なった。この2個のクローンの解析から計4個のエクソンの構造が明らかになった。これらのエクソンはラットの同遺伝子の第5から第8エクソンにぴったり一致していた。すなわち、ラットの染色体遺伝子の構成が植物の同遺伝子と大きく異なっているのは、ラットの特殊事情によるのではなく、動物あるいは補乳類の進化の初期の段階から尿酸酸化酵素遺伝子の構成が異なっていたことを示唆している。 しかし、組織特異的発現様式が生物種によって異なる遺伝子背景を知るのに必要な、ウサギ遺伝子の転写調節領域を含むゲノムクローンを得ることはできなかった。そこで、PCR法によって目的の遺伝子断片を得ることを目指した。まず、5'非翻訳領域の異なる2種類のmRNAが得られていることに対応する各々転写開始点からのcDNAを得、ついでゲノム断片を得ようとしたが、目的を達成することはできなかった。したがって、生物種によって異なる組織特異的な尿酸酸化酵素の発現の遺伝子背景は明らかにすることはできなっかた。
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