研究概要 |
Microsomal aldehyde oxygenase(MALDO)の構造と機能を解明すべく検討を行い、本年度は以下の点を明かにした。 (1)MALDOの本体であるシトクロムP450MUTー2は生体異物アルデヒドであるトルアルデヒドの他、11ーoxoーΔ^9ーtetrahydrocannabinol(11ーoxoーΔ^9ーTHC)及び11ーoxoーcannabinolを対応するカルボン酸体へと酸化する触媒活性を有することを明かにした。また、Nー末端アミノ酸は先に15残基まで明かにしていたが、今回30残基まで明かにした。 (2)ddN,ddY,ICR,C3H,DBA及びC57BL系の各雌雄マウスについて、MALDO活性は11ーoxoーΔ^8ーTHC及び9ーanthraldehydeを基質として、また、P450MUTー2量についてはWestern blot法により検討し、マウスの系統差及び性差に関する知見を得た。 (3)加齢によるMALDO活性及びP450MUTー2量の変動については、0,1,2,3,4,6,8及び12週齢のddN系マウスについて(1)と同様な方法により検討を行い、MALDO活性の発現とP450MUTー2との相関性及び性差の発現について明らかにした。 (4)薬物代謝酵素の代表的な誘導剤であるphenobarbital、3ーmethylcholanthrene、clofibrate及びacetone処理によるMALDO活性及びP450MUTー2の変動について検討を行い、その誘導性について明らかにした。 (5)マウス、ラット、ウサギ、モルモット及びモグラを用いMALDO活性及びP450MUTー2抗体と交差性のタンパクの有無について検討し、種差のあることを明かにした。 (6)P450MUTー2 cDNAをクロ-ニングするため、アフィニティ-カラム(P450MUTー2ーSepharose 4B)にて精製した抗P450MUTー2 IgGをプロ-ブとしcDNAライブラリ-をスクリ-ニングし、現在、P450MUTー2のcDNAの単離と併行して、合成オリゴヌクレオチドによるスクリ-ニングを行うため、限定分解したP450MUTー2のペプチドの精製を行っている。
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