研究概要 |
秋田保健所では,3歳児健診(幼児健康診査)の結果,発達に問題がある子どもの事後指導(親子遊び)や親や家族の不安の除去(親の集団での話し合い)をとおして,子どもの発達を促すことを目的に「幼児健康教室」を年5回(1回あたり6回の教室)開催している。そのうち2回は1歳6カ月健診(秋田市福祉保健部健康増進課・主催)時に発達に問題が見られた子どもの事後指導に当てている。この幼児健康教室に参加した子どもは,その後,必要に応じて秋田県障害児療育センターの指導を受けるが,軽度の障害と判定されると,地域の保育所や幼稚園に入所・入学するが,障害が明らかになるにつれて秋田市内の社会福祉法人グリーンローズ・オリブ園(民間の地域療育センター)などの発達相談を受け,その後,通所指導を受ける子どももいる.しかし,学習障害などの軽度の障害児の場合は,幼稚園や保育園でも見逃されることが多い.従って,保育園等の保育者への情報提供が重要である. 発達相談等に来所した母親等の協力を得て,「学習障害児スクリーニング・チェックリストに記入してもらった.このチェックリストは小学校児童用に作成されたものであるために,対象幼児に適したものではなかったが,発達の遅れ,特に言語発達の遅れ,バランスの悪さ,不器用などの学習障害児の中核的症状を示した幼児約40名を対象に,日本版・ミラー発達スクリーニング検査を実施した. 同検査によって学習障害の可能性が高い子どもを対象に,イリノイ言語発達診断検査(ITPA),WPPSI知能診断検査法,南カリフォルニア感覚統合検査などを実施した.対象幼児の時間的な都合から,すべての検査が完了した者は約20名であった.それらの結果は現在最終分析中である.また,学習障害の特性から,小学校入学後まで継続しての資料収集が必要であることが明らかになった.
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