研究概要 |
神経活動等の生体電気信号,血流速度信号,心拍出量等の生体力学信号など,生体内で発生する種々の信号を長時間にわたって記録,解析することは生体の機能を解明する上でも,種々疾患の発生機序を明らかにする上でも重要である.本研究は,センサ,刺激電極,記録解析ならびに通信用コンピュ-タなど,生体内信号の記録,解析に必要な一切の要素を体内に埋め込み,いわば生体内信号記録解析ステ-ションを実現することによって,生体の内部で発生する種々の生体信号を直接記録,解析する手法を確立しようとするものである. 平成3年度においては,生体内信号記録解析ステ-ション実現のためのハ-ドウェアの開発を行った.そのプロトタイプとしての電池駆動型ハンディタイプの生体信号収集処理装置は開発を終了した.それを更に体内に埋め込み可能なように,小型かつ軽量化すべく,基板上での電子回路チップの配置や,配線,多層化の工夫を凝らした.その結果,コンピュ-タ本体は名刺サイズまで小型,軽量化することが出来,大型の実験動物を対象とすれば,体内留置化が可能であることが示された.残された問題は,装置のより小型,軽量化,防水化,耐水コネクタの開発などのケ-シングの問題と,長期の充放電に耐えうる電池の選択である. ただ本生体信号記録解析装置を動物の行動分析や身体活動量測定などに使う場合には,体外に装着しても良い.このような観点から,既に開発を終了した生体信号記録解装置を用い,人の日常生活における心活動,身体活動の記録,解析を行った.その結果,人のまる1日の生体信号の変動の計測が出来るなど,本装置の無拘束計測装置としての臨床応用の有効性が確認された.
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