研究概要 |
慢性肉芽腫症(Chronic Granulomatous Disese:GGD)は反復重症細菌感染症に罹患ことの多い先天性疾患であり,この病因は食細胞ス-パ-オキサイド産生酵素活性欠損である。この酵素は,分子量91kと22kのチトクロ-ムb558膜蛋白と我々の報告した分子量47k,67kと未知の第3の細胞質因子からなること明らかにした(Science 242:1218,1988)。今回我々は、神戸大学の高井教授と協同で、リコンビナント-47k/-67蛋白と無細胞系によるス-パ-オキサイ産生再構成法を用いて第3の細胞質因子を精製し、これが低分子G蛋白の一つであるrac2であることを明らかにした。我々は更にこの低分子G蛋白の調節因子であるsmgGDSとrhoGDIを用いて、ス-パ-オキサイド産生能亢進と抑制を確認している。これらのことから、NADPHオキシダ-ゼの細胞質機成因子である低分子G蛋白(rac2)は、同酵素活性の調節に関わる事が明らかにされ、また低分子G蛋白調節蛋白であるGDS/GDIは、さらにAキナ-ゼなどでリン酸化され活性型になる可能性もあり、NADPHオキシダ-ゼ活性化のさらに上位での調節機構にも解決の糸口を与える可能性が出てきた。またCGD患者の解析はス-パ-オキサイド産生酵素研究にとって不可欠である。現在日本のCGD患者の病型分類を北海道大学の松本教授を長とした全国調査を行なっており、現在約100名弱の患者が発見されており、今後も新しい患者が発現されるものと思われる。またこの調査で発見された細胞質因子欠損患者のEBvirus tarnsformed cellを作製し、遺伝子解析を始めたところである。
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