研究課題/領域番号 |
03671097
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
滝口 祥令 浜松医科大学, 医学部, 助手 (40163349)
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研究分担者 |
中島 光好 浜松医科大学, 医学部, 教授 (00092982)
植松 俊彦 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (50151832)
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キーワード | 血栓形成 / 血栓モデル / 血小板凝集能 / 糖尿病 / 高血圧症 / 抗血小板剤 |
研究概要 |
我々が開発した光増感反応を応用した内皮損傷動脈血栓モデルを用いて各種抗血小板剤を評価した結果、ex vivo抗血小板凝集作用と、in vivo血栓形成阻害作用との間に、相関関係が得られた。また本モデルの特徴として、血小板由来の血管収縮が血栓形成に関与していることが示唆され、より臨床に近いモデルであることが認められた。本モデルを用いて糖尿病ラットおよび自然発症高血圧ラットにおける血栓形成と血小板凝集能との関係について検討した。糖尿病ラットでは血小板自体の凝集能が亢進しているにもかかわらず、in vivoの血栓形成は糖尿病発症初期では遅延していた。その理由といて、発症初期の全血中での血小板凝集能は逆に低下しており、血液中に何らかの血小板凝集阻害物質が存在することが示唆された。現段階ではこの物質は同定されていないが、今後の課題として継続研究中である。一方、高血圧症ラットでは、血栓形成が著しく遅延していたが、降圧剤処置により血栓形成時間は有意に短縮された。しかし、対照の正常血圧ラットと比べ、なお約2倍遅延していた。一方、血小板凝集能は、降圧処置にかかわらず高血圧ラットでは低下していた。これらの結果より、降圧処置した高血圧症ラットでの血栓形成遅延は、血小板凝集能低下に帰因すると考えられる。一方、無処置高血圧症ラットでの著明な血栓形成遅延は、一部血小板凝集能の低下が関与しているが、主としては高血圧の直接的(血行力学的)影響により血栓が完全成熟する前に、圧により飛ばされるためと思われる。以上、病態における血栓形成異常に関与する因子が、各病態により異なることが明らかとなった。
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