研究課題/領域番号 |
03671115
|
研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
黒板 公生 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (40056502)
|
研究分担者 |
大眉 寿々子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (70203932)
保科 定頼 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (30119846)
|
キーワード | コアグラ-ゼ陰性ブドウ球菌 / 生化学性状プロファイル / ファ-ジ型別 / DNase陽性株 / S.epidermidis |
研究概要 |
コアグラ-ゼ陰性ブドウ球菌(CNSと略す)は人体の常在菌であると同時に、一方では日和見感染の原因菌である。 CNSのうち、病巣ならびに健常者から最も多く検出されたものはS.epidermidisである。これらの株の生化学性状プロファイルを比べてみると、両者とも特定の同じプロファイルの株が多く認められ、プロファイルの上からは特に差は認められなかった。またいずれの株も、病原性につながると考えられるリパ-ゼ活性をもっていた。一方、血液から多く検出されたDNase陽性で特定の生化学プロファイルをもったCNSは、S.epidermidisの多くの株がもっていたδ溶血素を欠いているものが多かった。 ファ-ジ型別を行ってみると、病巣由来のS.epidermidsは型別不能株、次いでII型と型別不能株が以前より増加してきていた。一方DNase陽性株はII型に集中している傾向がみられ、CNSのファ-ジによって溶菌されるS.aureusの株が同じ溶菌パタ-ンを示すことから、II型のCNSとS.aureusの細胞壁には似た性状のあることが推測された。 宿主側の要因として血清の殺菌力に着目し、健常者血清では発育がある程度抑制されるS.epidermidisを用いてcompromised hostの血清の殺菌力を調べてみると、健常者血清に比ベて増殖がみられ,compromised hostでは血清中のある抗菌活性物質が低下していることが認められた。その結果これらの抗菌活性物質はアポトランスフェリン、アポリポプロティンが主体であることが認められた。アポトランスフェリンは血清鉄を吸着し、菌に鉄を与えないことで菌の増殖を抑制するものと考えられる。一方アポリポプロティンは、菌に直接働きかける因子の可能性が考えられる。
|