研究課題/領域番号 |
03671117
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
川端 眞人 日本大学, 医学部, 講師 (30175294)
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研究分担者 |
池田 稔 日本大学, 医学部, 助教授 (30130420)
龍 順之助 日本大学, 医学部, 講師 (30096854)
馬場 俊一 日本大学, 医学部, 講師 (30102479)
荒島 康友 日本大学, 医学部, 助手 (10167231)
河野 均也 日本大学, 医学部, 教授 (60059368)
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キーワード | ライム病 / Borrelia Burgdorferi / 血栓診断 / シュルツエマダニ / タカサゴキララマダニ |
研究概要 |
平成5年度は従来の血清疫学調査の継続に加え、各種ボレリア抗原の比較、ことに日本株対アメリカ合衆国株ボレリア、および精製抗原であるフラジェラム蛋白対外表蛋白抗原のライム病患者血清中の抗体測定能力を比較検討した。また、本年度の血清疫学調査で熊本県在住患者でタカサゴキララマダニ刺咬傷後に遊走性紅斑が出現した症例を経験した。血清学的にはライム病の病原体ボレリアとの反応は陰性で、病原体などは不明であるが、今後ライム病との関連が問題となる。 1.日本株とアメリカ合衆国の抗体測定能力の比較。これまでのボレリア遺伝子解析の成績から、日本にも固有のゲノタイプが存在し、ことに外表蛋白の塩基配列に著しい変異が認められた。そこで日本株およびアメリカ合衆国株ボレリア菌体を抗原とした抗体測定系を準備し、日本のライム病患者を対象に両抗原の抗体測定能力をROC曲線を用いて判定した。感染後3ケ月以内の急性期の患者では日本株の方が優れた結果であるが、それ以降の患者に対しては両抗原に違いは認められない。 2.フラジェラム蛋白と外表蛋白抗原の抗体測定能力の比較。日本株ボレリアからフラジェラムおよび外表蛋白を精製し、両蛋白を抗原とした抗体測定系を準備し、両抗原の抗体測定能力をROC曲線を用いて判定した。感染後3ケ月以内の患者にはフラジェラム抗原が優れているが、それ以降の患者に対しては抗体測定能力は劣化し、逆に外表蛋白が優れた結果であった。 3.タカサゴキララマダニ刺咬傷後に遊走紅斑が出現した症例。熊本県人吉市在住.男性.右側腹部に紅斑が出現し遠心性に拡大するため近医を受診、遊走性紅斑と診断され、病変中央部にマダニの咬着を認めた。臨床検査成績に著変はなく、ライム病病原体ボレリアに対する抗体も陰性、マダニはタカサゴキララマダニのメス若ダニであった。本疾患の病原体はボレリアであるか否かは不明で、その臨床像、疫学像など今後の研究課題である。
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