研究概要 |
1.われわれは,C9のC5bー8への結合を阻害することにより,C9の溶血活性を阻害する抗体(P40,X197)を得ている.すでにP40は一次構造上の245ー391に,X197は392よりC末測にエピト-プが存在することを明かにしている.X197の認識エピト-プはMACIFの結合部位である可能性が高いため,本年度はX197のエピト-プを明らかにすることを目的としてペプチドを合成し,X197との反応性を検討した.392ー443上の種々のペプチドはどれもX197と反応しなかったことから,444よりC末側にX197のエピト-プが存在する.525よりC末側は溶血活性を持つマウスC9で欠損していることから,この部位はX197のエピト-プとは考えにくい.そこで444よりC末側を444ー488とCys6個を含むEGF様部位にわけて考え,まず444ー488の45残基のペプチドを合成した.しかし,このペプチドとX197との反応性は認められず,X197のエピト-プはさらにC末側であると考えられる. 2.C9はin vitroでZ_n^<2+>とincubationすることにより,ポリC9を形成する.ポリC9形成にともない,フリ-のSH基が出現することが報告されており,ジスルフィド結合と,ポリメライゼイション機構との関係は興味深い.本年度は,C9のジスルフィド結合を還元し,C9の機能にどのような影響を与えるかを検討した.C9ー分子に存在する12のジスルフィド結合はDTTにより段階的に還元され,これに伴いC9の機能が阻害されることがわかった.しかし,DTT濃度依存性は,溶血活性,C5bー8への結合活性,ポリマ-形成で各々阻害されることがわかった.しかし,DTT濃度依存性は,溶血活性,C5b8への結合活性,ポリマ-形成で各々異なっていた.これらの結果から,ジスルフィド結合がC9の機能発現に重要であり,三者の活性には異なった部位のジスルフィド結合が関与していること示唆された.
|