研究概要 |
■研究の目的 病院に入院している患者は、病気の治療のために、入院前までの生活とは異った、制限された環境で過ごすことを余儀なくされている。患者によっては、このような環境の中でストレス状態を生じ、健康回復の障害になる場合もあると考えられる。本年度は、このような“入院患者のストレス"について、概念的な検討を行ったうえで、入院患者がどの様なストレスへの脅威に曝されているのかについて、調査・検討を行った。 ■“入院患者のストレス"の概念枠組み 本研究では、ストレスを「脅威に対する認知過種における一つの反応」と定義している。この定義は、ラザルスのストレス概念を援用したものである。これを基に、病室環境においてどの様な事柄(環境要因)が、どのような状況にある患者(個人要因)に、ストレスへの脅威として認知されているのか……について概念的に整理・検討した。 ■調査方法 調査対象は、国立大学附属T病院,S病院及び私立O医科大学附属病院の内科・外科病棟に入院する患者328名であった。調査方法は(1)入院患者の背景(年令,性別,在院日数,入院経験など…)(2)入院生活で起こると考えられるストレスに関する質問38項目について、自そ記載によるアンケ-ト及びその後の聞きとり調査により行った。 ■結果 38項目のストレス項目について、因子分析,多次元尺度構成法を行った結果、1、病気の精報の欠如 2、家族への関心 3、物的環境への不満などの8要因が抽出できた。この8要因別に入院患者の背景との関係をみると特に神経質の程度の差(YGによる)や在院日数,年令などに違いがみられた。又、ストレスの感じ方の違いで、その后の対処行動に違いがみられた。
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