本年度は、昨年の文献研究およびパイロット・スタディに引続き、本調査の段階に入った。しかし、面積事例数ががん患者の家族および精神分裂病者の家族双方とも、必要な数だけ得られなかったため、継続中である。 途中経過におけるデータ分析(N=21)では、下記の傾向が認められている。おもにがん患者の家族についてまとめてみた。 1.対象者(家族介護者)の属性では、年齢が35-70才(平均50.5才)で、女性が20名(妻13名、娘4名その他)男性が1名(夫)である。患者の方は32-77才、胃癌10名、大腸・直腸癌7名、その他である。 2.家族介護者のストレス要因として顕著に認められるのは、現段階では、本人に告知していないために生ずる患者との関係における緊張と不安があげられる。また、手術後から調査時点まで続継して毎日付き添っているものが半数近く占め、身体的疲労の訴え、予測のたたなさからくる精神的不安定等も認められている。 3.様々なストレス要因が推測されるにも関わらず、家族内外の資源、ソーシャル・サポートはあまり活用されていないようである。コーピングについて、自記式質問紙(中野の翻訳による対処行動尺度)で調べたところ問題解決、積極的認知、期待的思考、回避、その他の下位尺度について、際だった特徴が認められない。
|