本研究の目的は、看護教育への指針を得るために、看護の基礎教育機関である大学、短期大学、看護学校のそれぞれの課程の卒業生にどのような特性(能力)を期待されるかについて、看護教育の専門家と看護実践の専門家の意見を、デルファイ法を用いて明らかにすることである。研究をより成功させるために、本年度は研究に関連のある情報の収集(文献検討を含む)と研究方法の具体化、および質問紙の作成に焦点をあてた。 1.この領域の研究の動向を探索するために、1972年〜1991年までの国内外の文献を検索した。その結果として、今までに実施された研究のうち、看護婦の能力レベルに関するものを選択し、能力判定の尺度を決定した。 2.デルファイ法を用いて実施された研究報告のいくつかには、質問に対する回答の抽象レベルがかなり異なるものもあった。このような短所を認識した上で、本研究の目的を達成するための質問をより具体的なレベルに近づけて行うことに決めた。また、カリキュラム研究の専門家にカリキュラムと卒業生の特性とのとの関係およびデルファイ法を用いる時のデ-タ分析の視点について助言を得た。幅広い概念である卒業生の特性をどのように操作的に定義するかによって予測される研究結果も異なるために、質問紙の作成には時間をかけた。 3.研究対象としての看護教育者と看護実践家の母集団の実態を把握したうえで、対象者の選択を行ない、研究協力の依頼を行った。研究対象者からの承諾の葉書を受取り整理ができ次第、第1回の調査を実施すべく準備を整えている最中である。
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