研究概要 |
本研究の目的は、看護教育への指針を得るために、看護の基礎教育機関である大学、短期大学、看護学校のそれぞれの課程の卒業生にどのような特性(能力)を期待されるかについて、看護教育の専門家と看護実践の専門家の意見を、デルファイ法を用いて明らかにすることである。平成3年度は、研究に関連のある情報の収集(文献検討を含む)と研究方法の具体化、および質問紙の作成に焦点をあてた。平成4年度は、以下のように第1回の調査を実施し、その結果を分析し、結果に基づいた質問紙を第2回の調査に向けて作成した。 1.研究方法:看護教育者と看護実践家の母集団の実態を把握したうえで、対象者の選択を行ない、研究協力の依頼を行ない、承諾を得られた対象者に各々の教育課程の卒業生が身につけている能力のうち重要と思われるものから優先順位の高いものを自由記載法による質問紙を郵送法により送付し、回収した。回答は、各教育課程別に、また教員と看護婦が期待する能力別に、記述された内容を分析し、類似するカテゴリーに分類した。 2.結果:回収率は看護学校教員65.5%、短大教員68.3%、大学教員69.4%、臨床看護婦70.1%であった。卒業時点で期待される能力として、A.一般教養および社会人としての能力(自己啓発/自己学習能力など)B.看護専門職としての能力(1)看護実践に必要な知識や技術、2)実践での意志決定に必要な能力、3)対人関係の形成や円滑な展開、4)チームの中での役割遂行に必要な能力)C.専門職としての価値観、態度、責務などがあり、どの課程においてもB-1),B-2),B-3),B-4)等が頻度が高くみられたが、具体的な能力レベルに課程別に差があるものもあった。 3.上記の結果を参考に、第2回調査にむけて、SD尺度による質問紙を作成し、信頼性と妥当性を検証した。
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