本大学病院に勤務する看護婦と女性事務職員869名に対して慢性疲労、睡眠異常、月経障害などに関する172項目のアンケ-ト調査を平成3年7月中旬に実施し、813名から回収出来た。蓄積疲労では、看護職で精神性愁訴が圧倒的に多かったのに対して、事務職では身体性愁訴が上位を占めた。睡眠異常では、病的な睡眠障害は認めなかったが、約半数が日常睡眠に対して不満足と回答していた。睡眠への不十分感は看護職が事務職を上回ったが、交代制勤務(シフトワ-ク)経験の浅い看護婦では入眠が速く、睡眠中の覚醒が少ないにもかかわらず不十分であり、経験者は、満足感を得ようと飲酒、睡眠剤等で睡眠の工夫をしているが、なおかつ不十分であるという実態であった。月経障害では、日常生活に支障を来す者が看護職の約45%に認められ、事務職より多かった。その症状には、骨盤内循環障害から来る下腹痛、腰痛が最も多く、次に眠気であり、経験年数と共に漸増し、その後漸減する傾向を認めた。 アンケ-ト調査の回答から3交代勤務に就いている看護婦15名、夜勤のない事務職3名(年齢21〜40歳)について2夜の終夜睡眠脳波記録、合計36夜を実施した。看護婦の3名を除いて第2夜の方が第1夜より睡眠構築は良かった。第1夜で良かった3名は、夜勤による睡眠不足と、身体的疲労の影響が出たためで、従来から云われている第1夜効果を認めなかった。看護婦の夜間睡眠は、対照とした事務職と比較して睡眠効率も良く、睡眠構築上、問題とすべき睡眠障害を認めなかった。しかしながら勤務経験の長い看護婦程、徐波睡眠の出現が減少していた。また経験年数5年未満の看護婦では、睡眠紡錘波と急速眼球運動の同時出現、周波数の低いα波に徐波が連続する等、睡眠段階判定を困らせる脳波の出現がしばしば認められた。記録後の自覚的睡眠感でも、看護婦の方が対照より悪かった。以上が今年度の研究実績の概要である。
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