本年度が本研究の最終年度にあたるため、これまで大学病院に勤務する看護婦と女性事務職員に対して実施した蓄積疲労、睡眠障害、月経異常の3部門に関する172項目のアンケート調査を再検討した。そして交代勤務者(シフトワーカー)を、3部門のどれか1つでも何らかの異常を認めた異常群、全く異常を認めない正常群に分類し、昨年と同様に終夜睡眠脳波の被験者(無償)を募った。1.本年度の終夜脳波記録は、看護婦3名、事務職3名であったが、昨年度の被験者と合わせて異常群11名(21〜28歳)、正常群7名(24〜40歳)、対照群(シフトワークのない事務職)6名の合計24名となった。2.看護婦の夜間睡眠構築は異常群、正常群とも対照群と比較して大きな変化を認めなかったが、正常群では睡眠第2段階出現率(%S2)が多く、睡眠第3段階出現率(%S3)が少ない傾向にあった。また異常群では、特に睡眠第4段階出現率(%S4)が多い傾向であった。3.これまでの予備的研究から看護婦のシフトワークへの生理的順応過程が3年で達成されることを考慮して、看護婦の勤務経験年数3年を境として睡眠構築学的変化を検討した。4. %S4は対照群が一番多く、3年未満、以上の順番に減少していた。3年未満と以上を比較すると、徐波睡眠出現率(%S3+4;%SS)が3年以上で有意に減少していた。夜間睡眠を3分割して検討すると、前1/3では3年以上で有意に%S2が増加し、%SSが減少していた。中1/3では、3年未満で%S2が有意に増加し、3年以上でレム睡眠出現率(%SR)が多い傾向であった。5.生体リズムの不整を思わせる脳波の出現は昨年と同様であった。6.体温や睡眠・覚醒リズムの具体的調査は中途段階であり、今後の課題として残された。
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