研究概要 |
K大学附属病院の看護婦162名を対象として,Pines Burnout Measure(PBM)およびMaslach Burnout lnventory(MBI)を用い,Burnout現象を測定するとともに、東大式エゴグラム(TEG)による自我構造の測定を行った.得られたおもな結果は以下のようである. 1.Cronbachのα係数によって検討した各尺度の信頼性は,十分満足できるものであった.2.PBMの21の質問に対する回答の因子分析によって,第1因子(F1):抑うつ感,第2因子(F2):満足感,第3因子(F3):疲労感と解釈できる3因子が抽出された.3因子それぞれの因子得点から求めた総合指数(F1得点ーF2得点+F3得点)と原法によるBurnout得点との間には極めて高い相関(r=0.98,p<0.01)が認められた.3.MBIの22の質問に対する回答の因子分析によって,頻度,強さともに3因子が抽出され,Maslachらの結果とほぼ一致する成績が得られた.4.PBMの得点は,MBIの頻度でのburnout Index(情緒的疲弊(EE)+非人格化(DP)-成功体験(PA))との間に最も高い相関(r=0.61,p<0.01)を認め,次いで情緒的疲幣の得点との間の相関(r=0.60,p<0.01)が高かった.5.PBMの得点とTEGの各自我の得点と関連を偏相関によって検討した結果,ACが高いほどPBMの得点が高かった.6.MBIの頻度でのBurnout IndexとTEGの各自我の得点との関連では,NPが低いほど,FC高いほど,ACが高いほど,Burnout Indexが高かった.7.自我状態の偏りとBurnout現象との関係をみると,PBMの得点もMBIの頻度でのBurnout Indexも,(1)TEGのPeakがACに位置する者で,(2)BottomがNPあるいはAに位置する者で,(3)5自我の平均レベルが高位にある者で,高いことがわかった. 得られた結果は,ナ-スのBurnout現象の予測と予防の方法になにがしの示唆を与えるものと思われた.
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