膵島アミロイド蛋白(IAPP)はII型糖尿病に見られる膵島アミロイド沈着の主成分蛋白であり、同糖尿病の成因との関係が注目される。同蛋白の発現異常、膵島アミロイド沈着と同糖尿病の発症ないし進展との関係を解明するために、本研究では1)II型糖尿病モデル動物におけるIAPP遺伝子発現と合成・分泌について、2)IAPP発現培養膵B細胞株におけるIAPP合成と分泌の機序について、3)ヒトIAPP遺伝子のプロモーター機能について、4)ヒトIAPP発現トランスジェニックマウスにおける膵島アミロイド沈着とII型糖尿病の発症しない進展について検討した。肥満およびII型糖尿病モデル動物の膵IAPP含量をラジオイムノアッセイ法を用いて測定した。IAPP含量および分泌は著明に増加していることから、肥満・糖尿病患者でIAPPの合成・分泌が亢進している可能性が示唆され、国際糖尿病学会で報告し、論文を発表した。培養膵B細胞株におけるIAPP発現についてRNAブロット法、ラジオイムノアッセイ法および免疫組織化学法を用いて検討した結果、新しい膵B細胞株(MIN6)においてIAPPが発現していることを確認した。国際糖尿病学会で報告し、論文を発表した。Polymerase chain reaction法による直接シークエンス法を用いてヒトのIAPP遺伝子の5'側上流を解析し、糖尿病患者と健康人を比較検討した。日本糖尿病学会で報告し、現在論文を投稿中である。ヒトIAPP遺伝子とインスリン・プロモーター遺伝子をマウスの受精卵に導入してトランスジェニックマススを作製することに成功し、日本糖尿病学会報告し、現在論文を投稿中である。ヒトIAPPが膵B細胞に特異的に発現していることを確認した。ヒトIAPP発現II型糖尿病発症との関係について現在検討中である。ヒトII型糖尿病患者膵について免疫組織化学法により検討し、日本糖尿病学会で報告し、論文を発表した。
|