研究課題/領域番号 |
03671145
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
石田 均 京都大学, 医学部, 助手 (80212893)
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研究分担者 |
津田 謹輔 京都大学, 医学部, 助手 (10180001)
清野 裕 京都大学, 医学部, 助教授 (40030986)
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キーワード | 糖尿病 / 膵β細胞 / インスリン / 細胞内情報伝達系 / 細胞内カルシウム / イオンチャネル |
研究概要 |
我が国の糖尿病患者の大多数を占めるインスリン非依存型糖尿病 (NIDDM)における重要な知見として、ブドウ糖刺激に対する膵β細胞よりのインスリン分泌不全が指摘されている。その発症機構を明らかにする目的で、インスリン分泌に関与する細胞内情報伝達系の中で重要な地位を占めている細胞内カルシウム濃度の動態について、新生児期にストレプトゾトシンを投与し作製したNSZラットを用いて検討した。そのラットではブドウ糖刺激に対するインスリン分泌不全が認められたが、アレギニン刺激に対しては保たれていた。ブドウ糖刺激による細胞内カルシウム濃度の増加量はNSZラットで減弱しており、また増加に位るまでのlagtimeも延長を認めた。一方、アルギニンやカルバコ-ルに対する細胞内カルシウム反応は、NSZラットで増大を認めた。したがって本モデルでのブドウ糖に対するインスリン分泌障害の機序の1つとして、ブドウ糖に対する選択的な細胞内カルシウムの増加反応の減弱と、その遅延が考えられた。ブドウ糖に対するインスリン分泌不全と細胞内カルシウム増加増応の減弱は、NIDDMモデル動物により得た膵β細胞のみならず、高濃度ブドウ糖存在下に培養した膵ラ氏島においても認められた。一方、アルギニン刺激に対してはインスリン分泌反応は保たれており、β細胞内カルシウム濃度動態にも方化は認められなかった。さらにブドウ糖刺激による細胞内カルシウム濃度の増加には、ATP感仏性K^+チャネルの閉鎖と、細胞膜の脱分極にともなう電位依存性Ca^<2+>チャネルの活性化が関与している。そこで電気生理学的手法であるpatchーclamp法により、NSZラットでのATP感受性K^+チャネルの解析を行なったところ、ブドウ糖刺激に対する閉鎖率の低下を認めた。以上より、NIDDMにおけるブドウ糖刺激に対するインスリン分泌不全の成因に、細胞内情報伝達ーイオンチャネル系の異常が関与している可能性が考えられた。
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