研究概要 |
上記研究課題の測定系の開発のため、まずインスリン受容体に対するモノクロ-ナル抗体を作製した。免疫原としてバキュロバイラスをベクタ-としsf9細胞にインスリン受容体のαサブユニットを大量に発現させたのちアフィニティ精製した蛋白を用いた。一方、リン酸化チロシンに対するモノクロ-ナル抗体の作製のために、免疫原としてチロシンリン酸化酵素をコ-ドする衡遺伝子ab1を大腸菌に発現させ、大腸菌中の蛋白をチロシンリン酸化させた菌体破砕物を用いた。両抗体とも一連の細胞融合法、スクリ-ニング、クロ-ニングという過程を経て、良好な各種ハイプリド-マが得られた。これらのハイブリド-マから分泌されるモノクロ-ナル抗体を精製し、これを用いてヒト赤血球のインスリン受容体キナ-ゼ活性の測定系をenzymeーlinked immcmosorbent assay(ELISA)を用いて確立した。 まずヒト赤血球をin vivoでインスリン処理後、赤血球ghostを作製し、1%Triton Xー100で可溶化したものを検体とした。ELISAはマイクロタイタ-プレ-トにモノクロ-ナルインスリン受容体抗体を固層化後、検体中のインスリン受容体を吸着させモノクロ-ナルリン酸化チロシン抗体をビオチン化後加え、この抗体の結合をペルオキシダ-ゼ・アビチンを用いて測定した。標準検体はヒトインスリン受容体を過剰発現したCHOT細胞をインスリン処理後、ホスフォチロシン抗体カラム、WGAカラケで精製したものを用いた。その結果、インスリン処理により赤血球インスリン農度で認められた。全血400μlからの希釈試験は80μlまで標準曲線と平行化し、回収試験は95〜102%の範囲内であり、interassay,intraassayも5〜12%(CV値)と良好であった。
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