研究課題/領域番号 |
03671153
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
芳野 原 神戸大学, 医学部, 講師 (70174969)
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研究分担者 |
村田 幸生 神戸大学, 医学部・附属病院, 医員
前田 英一 神戸大学, 医学部・附属病院, 医員
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キーワード | LCAT / 遺伝子解析 / PCR-RFLP / PCR |
研究概要 |
Lecithin cholesterol acyltransferase(LCAT)は血中コレステロールをエステル化する酵素で血中リポ蛋白粒子のレシチンのbeta一位脂肪酸を非エステル型コレステロールの3-OH基に転位する反応を触媒し、肝蔵で合成され血液中に分泌され、HDL粒子と結合する。家族性LCAT欠損症は本酵素を先天的に欠損する疾患であり、罹病期間の延長とともに腎機能が低下し、腎不全となる。極めてまれな疾患で、本邦においても未だ7家系が報告されているに過ぎない。本家系は動脈硬化の・negative risk factorと考えられているHDL-コレステロールの低下とHDL粒子の構造および組成の異常が特徴である。一方、本酵素活性の低下とHDL-コレステロールの低値は冠動脈硬化と深い関わりを持つことが知られている。したがって、本酵素の分子遺伝学的解析を行うことは動脈硬化進展予防に極めて重要な情報を提供することとなる。本酵素欠損症の遺伝子解析の報告はイタリアからの1例のみであった。 今回、我々は本邦における本疾患の2家系から3人の血液を入手LCAT geneの解析を行った。初年度には先ず、遺伝子変異の解析を行った。即ち、本患者の白血球よりゲノミックDNAを採取し、次に患者LCAT遺伝子の全エクソン(I〜IV)及び、エクソン/イントロン移行部の各領域をPolymerase chain reaction(PCR)法にて増幅した。さらにPCR一次産物を非対称PCR法にて増幅し、一本鎖変異DNAを得、直接法にて一本鎖変異DNAの塩基配列を決定した。その結果、本2家系にエクソン6の293番目のメチオニンをコードする遺伝子にGからAの変異を見出し、その為イソロイシンへのアミノ酸の置換によりLCAT活性をほとんど欠除する変異体が生じているものと考えられた。
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