研究概要 |
NODハウスの膵島炎を経時的に観察し、免疫組織染色を用いた浸潤リンパ球のサブポピュレ-ションの解析を行ない、糖尿病発症との関連について検討した。また、産生された自己抗体、即ち、抗Glufmic Acid Decarboxylase(GAD)抗体、抗インスリン抗体等についても検討した。浸潤リンパ球は初期に、CD4,CD5陽性Tリンパ球、IgG2aおよびIgG3陽性Bリンパ球が主体であり、CD8陽性T細胞も散在性に存在していた。後期には、浸潤リンパ球の主体は、特にBリンパ球の中で、IgG2aからIgG3へと変化して、同時に血清分の免疫グロブリンサブクラスも、組織変化に一致する動態を示した。また血清中のG4D、インスリンに対する抗体はIgG2aのサブクラスであり、かつインヒビションテストによって、交差反応が乏しく、特異性の高い抗体であることが判明した。一方、IgG3クラスの抗体の反応する標的抗原は、不明であり、現存、その検索を進めている。膵島炎の発症と、臨床的な糖尿病発症との関連を検討したが、やはり膵島炎の進展、及び自己抗体の産生と糖尿病の発症に関連のあることが明らかとなった。インスリン抗体は、発症早期より認められ、一方GAD抗体は遅れて出現するので、インスリン抗体は発症初期のマ-カ-、GAD抗体は、結果としてのマ-カ-としての有用であると思われた。このモデルにおける糖尿病発症をコントロ-ルする目的で免疫調節剤proxygermanium(SK818)をSTZマウスに投与する予備実験を行なった所、膵島炎、糖尿病発症ともに抑制された。今後NODマウスにおける検討、また、その抑制のメカニズムの検討を行なう予定である。
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