研究概要 |
NODマウスにおける膵島浸潤リンパ球の検定と流血中の自己抗体の検索を行った。抗glutamic acid decarboxylase (GAD)抗体は全体として46/99(46.5%)に出現した。5-15週では39.5%、26-35週では96.9%の出現率であり、週令とともに抗体が出現し、同時期に糖尿病が発症した。また週令が高いほど抗体価も高値を示した。抗gGAD抗体の特異性はGADに阻害され、insulinでは阻害されないことで確認された。流血中の抗GAD抗体のサブクラスはIgG2aであった。抗リン脂質抗体は、37.4%に出現した。5-15週令では6.9%、16-25週令では31.6%、26-35週令では71.9%の出現率であった。また週令とともに抗体価は上昇した。さらに糖尿病を発症したNODマウスはより高率(84.6%)で高い抗体価を示し、糖尿病を発症していないマウスではより低率(63.2%)で低い抗体価を示した。抗体の特異性について検討してみるとCLでは阻害されるがinsulinやssDNAでは阻害されず特異性の高い抗体であることが証明された。抗体のサブクラスはIgG2aであった。膵島浸潤リンパ球の免疫組織化学的検討も行った。NODマウスの膵島炎はその初期では、CD5およびCD4陽性Tリンパ球を中心として一部CD8陽性Tリンパ球が浸潤したが、NK細胞やBリンパ球は認められなかった。その後Bリンパ球が、Tリンパ球の周囲に経過とともに浸潤した。IgM,IgGを表出しているリンパ球の浸潤が主体でありIgA陽性リンパ球の浸潤は乏しかった。またIgGのサブクラスについて検討すると初期にはIgG2aとIgG3であったが後期にはIgG3が優位となった。膵島浸潤リンパ球のin vitro検定は現在進行中であるが、膵島浸潤リンパ球のsubpopulationは免疫組織化学的検討を確認する結果であった。現在、培養上清の抗体活性、immunoglobulin V regionのレパートリーについても、検討中であり順次報告していく予定である。
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