研究概要 |
I型糖尿病の自己免疫異常に注目し、患者血中に存在する64K自己抗体が認識する自己抗原のクロ-ニングを行なっている。すでに64K対応抗原がグルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)であることが判明した。既数のラットGAD cDNA塩基配列から特異的oligomesを作製し、ラット脳cDNAライブラリ-から67Kに相当する1.8kb GAD cDNAを単離同定した。この間,現所属の原研究症予法部門の新設教室の整備を行ない,共同利用実験室やRIセンタ-を利用して遺伝子組み換えやクロ-ニング更に塩基配列決定を可能にしてきた。研究の進展状況は当初の予定通り、ヒト膵臓cDNAライブラリ-の作製に成功し、ラットGADcDNAを用いてスクリ-ニングの段階に入っている。しかし、我々の得たGAD cDNAはbrain type67Kに相当するため,64K GADがまだ得られていない。 平成4年度もひきつづき64K自己抗原のクロ-ニングを行なう予定であるが、本研究分野の国際競争は徹化しておりすでに他施設からヒトのGAD,64Kと67K対応遺伝子の一部が報告された。今後我々の研究テ-マも塩基配列決定というオリジナリィティは薄く、研究当初の目的を一部修正する必要がある。そこで64K対応GAD遺伝子をヒトで単離同定後は、各部分フラグメントの発現ベクタ-とのキメラ遺伝子を作製する。本発現システムを用いた患者血清の64K自己抗体の測定系と臨床応用への基復検討を行なう。更にGAD cDNAをpoobeとして各組織,培養細胞のmRNA,蛋白レベルの発現調節機序について検討予定である。
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