(1)チロシンホスファターゼゲノム遺伝子のクローニングおよびその構造解析 平成3年度に引続き、我々がクローニングしたヒト受容体型チロシンホスファターゼ(Leukocyte common antigen-related phosphatase:LRP)cDNAをプローブとして、ヒトLRPゲノム遺伝子のスクリーニングを続行し、得られた陽性クローンの解析を行った。しかしながら、未だヒトLRP遺伝子の5'端をカバーするクローンを得られず、さらに解析中である。 (2)糖尿病状態におけるチロシンホスファターゼ遺伝子発現 ラットLRP部分cDNA(平成3年度にRT-PCR法によりクローニングしたもの)をプローブとして用いるノザン法にて、まず正常コントロールラット各組織(脳、肺、肝、腎、脾、胃、小腸、大腸、骨格筋、心筋、膵)におけるLRP遺伝子発現を検討した。LRP遺伝子発現は検討した全ての組織において認められた。特に、脳でその発現レベルが高かった。次に糖尿病状態(ストレプトゾトシン投与、デキサメサゾン投与)および摂食状態(自由摂食、絶食3日間、絶食後再摂食)における脳、肝、腎、骨格筋における発現レベルの変化についてノザン法にて検討した。糖尿病状態や摂食状態によるLRP発現の明かな変化は認められなかった。以上より現在のところLRPの糖尿病との関連は否定的であると考えられた。今後LRP遺伝子発現を細胞レベルで検討するため、In situ hybridization法の応用を検討中である。
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