研究概要 |
造血不全疾患の病態解析を目的として、貧血,特に汎血球減少を呈する患者から骨髄血を採取し、既報のごとく(Blood,78:967ー974,1991)、免疫磁性ビ-ズとモノクロ-ナル抗体を用いて幹細胞を純化した。純化幹細胞を既報の無近清培地(J.Clin.Tnves.,83:1701ー1709,1989)に植え込み,各種造血因子に対する感受性・反応性の異常の有無を検討した。検討の対象とした造血因子は6種類を主とし、エリトロポエチン(EP)、macrobage colony stimulating factor(MーCSF)、granulocyteーCSF(GーCSF)、macrophageーgranulocyteーCSF(GMーCSF),interleukinー3(ILー3)および幹細胞因子(注:申請者訳:stem cell factor:SCF)であり、その他7種(ILー1,ILー6等)についても検討を加えた。現時点での累積症例数は18症例である。内分けは、骨髄異形成症候群(MDS)13例、再生不良性貧血(AA)5例である。MDSの細分類は、不応性貧血(RA)5例,refractory anemia with excess of blasts(RAEB)4例、RAEBーT(in transformation)4例である。コントロ-ルとして10例の正常人から胃髄血を採取した。 正常人の純化幹細胞を用いた検討貞以下のことが明らかとなった。(1)MーCSF,GーCSF,ILー3,EPは、単独では、系特異的な造血因子として働き、それぞれ、colony forming unitーmacrophage(CFUーM),CFUーgramilocyte(DFUーG),CFUーeosimophil/bacsophil(CFUーFo/Ba)、赤芽球コロニ-を形成する。(2)GMーCSFも含め、これらの因子は一定濃度で効果が最大に達する。これに対し、MDSでは、GーCSFに対する感受性の低下が認められ、また種々の造血因子の組み合わせによる条件下でも反応性の異常を認めるのに対し、AAでは正常幹細胞と質的差異を忍めなかった。
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