研究課題/領域番号 |
03671182
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研究機関 | 山梨医科大学 |
研究代表者 |
尾崎 由基男 山梨医科大学, 医学部, 助教授 (30134539)
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研究分担者 |
矢冨 裕 山梨医科大学, 医学部, 助手 (60200523)
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キーワード | 血小板 / チロシンキナーゼ / イノシトールリン脂質 / PI(3,4)P_2 / ゲニスタイン |
研究概要 |
平成3年度の結果より、チロシンリン酸化酵素(チロシンキナーゼ)の阻害剤とされるgenisteinが血小板のチロシンキナーゼをあまり阻害せず、PI(4)P 5-kinaseの抑制効果により、血小板機能を抑えることがわかった。このためチロシンキナーゼをより有効に阻害する物質をスクリーニングしたが、protein kinase C阻害剤として知られるstaurosporineが低濃度にてチロシンキナーゼを阻害することを発見した.staurosporineは、小麦胚芽レクチン(WGA)により惹起される血小板カルシウム動員、イノシトール燐脂質代謝を特異的に阻害し、同時にWGAにより増加するチロシン燐酸化を抑制する。一方、protein kinase Cに特異的な阻害剤はWGAのカルシウム動員を抑制することはない。これらのことより、WGAによるイノシトール燐脂質代謝活性化の機序にチロシン燐酸化が重要な役割をはたしていることが推測された。 トロンビン等の血小位機能刺激剤により種々の分子量のチロシン燐酸化蛋白が発現するが、それらの意議についてはまだ明らかになっていない。我々は、75KDaのチロシン燐酸化蛋白がトロンビン刺激後に一過性に増加し、数分で消失することを確認している。種々の刺激剤による検討で、細胞内カルシウムが増加する刺激に限り、この75KDaの蛋白のチロシン燐酸化が起きること、また細胞内カルシウム動員が起きないような状態にしておくとこの蛋白燐酸化が起きないことより、このチロシン燐酸化蛋白がイノシトール燐脂質代謝と密接な関係を持つものと考えている。
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