研究課題/領域番号 |
03671190
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
工藤 二郎 九州大学, 医学部, 助手 (90148940)
|
研究分担者 |
平田 泰彦 九州大学, 医学部, 助手 (10218787)
石橋 大海 九州大学, 医学部, 講師 (80127969)
|
キーワード | ミトコンドリア / NADH脱水素酵素 / 白血病 / ロテノン / ミトコンドリア阻害剤 / 細胞周期 / 細胞分化 / HL60細胞 |
研究概要 |
平成3年度中にNADH脱水素酵素の特異的阻害剤ロテノン及び10種のミトコンドリアmRNAに対するアンチセンス及びセンスDNAを用いた低濃度実験を行い、ミトコンドリア抑制により細胞分化が誘発されることを示唆する結果を得たため、平成4年度は各種濃度のロテノンとアンチセンスDNAを用いて以下の結果を得た。 1.500nMのロテノンの添加により細胞増殖は停止し、7日後に完全に死亡する。50nMのロテノンでは増殖は減弱し、細胞周期G_2+Mの増加がみられる。 2.50nMのロテノン添加により、骨髄細胞抗原CD38、単球抗原CD13の発現が亢進する。 3.ロテノン添加によりND2、C01遺伝子発現は一定量を保つ。一方phorbol myristate acetate(PMA)添加では両者の遺伝子発現が減少する。 4.ND2-、C01-、C02-mRNAに対する21merと18merのアンチセンスDNAを作製し、細胞膜透過キット、トランスポートを併用して実験したところ、アンチセンスDNAは40μMの高濃度でHL60細胞の増殖を40%低下させるが、これはセンスDNAの効果と差がない。40μMのアンチセンスDNAを加えても細胞表面抗原CD4、CD13、CD11b、CD33の変化はみられない。 以上の結果より、ミトコンドリアのNADH脱水素酵素を阻害することにより、HL60細胞の分化を誘導可能であり、また細胞周期に特異な変化をみることがわかった。一方、アンチセンスDNAは細胞に影響を与えにくく、臨床応用に困難のあることが示唆された。
|