研究課題/領域番号 |
03680002
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
飯塚 哲 東北大学, 工学部, 助教授 (20151227)
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研究分担者 |
畠山 力三 東北大学, 工学部, 助教授 (00108474)
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キーワード | 低エネルギー電子 / プラズマプロセス / 高周波放電 / 室温プラズマ / ホロー陰極 / 電子温度制御 / プラズマ化学 / 反応性プラズマ |
研究概要 |
今年度は本研究の最終年度であり、前年度に発見されたグリッドによるプラズマ中電子の低温化現象の機構、制御法について実験を行い、以下の成果を得た。 1)プラズマ中の低温電子の発生場所を明らかにするために、グリッドを境にプローブを移動させ、プラズマ中の電子密度分布を測定した。低温電子はグリッドの内側のプラズマ生成領域では観測されず、グリッドの外側のプラズマ拡散領域で観測された。低温電子密度はグリッドを離れるにつれて増加した。以上より、低温電子はグリッドを通過した高温電子による電離によって生成されることが明らかにされた。 2)低温電子の発生が、高エネルギー電子による直接電離によるものか、あるいは低エネルギー電子による累積電離によるものかを明らかにするため、ガスの種類をアルゴンとヘリウムで比較した。低温電子密度はヘリウムの時、アルゴンの数倍となり、両者の電離エネルギー(アルゴン15.7eV、ヘリウム24.6eV)の差では説明できない。ヘリウム準安定原子の寿命6×10^6秒、準安定エネルギー19.8eVと電離エネルギーの差が4.8eVを考慮することにより、累積電離を含む電離の可能性が明らかにされた。 2)直径30cm程度にわたって一様に電子温度制御が可能であることが分かり、大口径化も可能であることが明らかにされた。 3)高周波放電やマイクロ波放電でも、直流放電と同様にグリッド法によりプラズマ中の電子温度を制御できること、また他のガスでも電子温度を制御できることが明らかにされた。 以上により、本研究で発見された電子温度の低温化現象は、ガスの種類やプラズマの生成方法に依存しない物理現象であり、その基本的な特性及び機構が明らかにされた。
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