新しく発見された低気圧放電プラズマ中電子の低温化現象の物理機構制御法について以下の成果を得た。 1)低気圧放電プラズマでの電子エネルギー制御が、ホロー陰極内部の構造を変えたり、グリッド法で可能となった。 2)低温電子はプラズマ生成領域では観測されず、プラズマ拡散領域で密度が増加した。低温電子は高温電子による電離によって生成されることが明らかにされた。 3)電子エネルギー分布の測定により、低温電子の発生は高エネルギー電子による直接電離の他に低エネルギー電子(〜5eV)による累積電離が無視できないことが明らかにされた。 4)直径30cm程度にわたって一様に電子温度制御が達成され、大口径化も可能であることが明らかにされた。 5)高周波放電のみならず直流放電やマイクロ波放電でも、プラズマ中の電子温度を制御できることが明らかにされた。 6)ヘリウムや水素プラズマ中でもアルゴン同様に電子温度を制御できることが明らかにされた。 7)反応性ガスであるメタンをアルゴンプラズマ中に混ぜ電子温度制御を行うと、低温電子温度領域で水素負イオン密度やメチルラジカル密度の増加が観測され、反応性プラズマ中のエネルギー分布の重要性が明らかにされた。 以上により、本研究で発見された電子温度の低温化現象は、ガスの種類やプラズマの生成方法に依存しない物理現象であり、その基本的な特性及び機構が明らかにされた。
|