磁場閉じ込め高温プラズマに計測の目的で入射された中性粒子ビームの衝突・放射過程を、レーザー誘起蛍光も含めたレート方程式を用いて数値的に調べ、プラズマ計測への応用を検討した。 1.トカマクプラズマ中に入射されたヘリウム中性粒子ビームのレーザー誘起蛍光も含めた励起・電離および放射過程を数値的に解明するため、衝突・放射モデルにもとずくレート方程式を導いた。これには、電子衝突だけではなくイオン衝突としてプロトンによる衝突励起・電離および荷電交換も含めた。さらに、パルスレーザーによる局所的な励起項も加えている。ヘリウム原子の準位は主量子数n=5までを考慮し、各準位に対応する連立微分方程式の数値解を求める計算コードを作成した。必要に応じて、考慮する準位数は増減できる。 この計算コードの有用性を検討するため、具体的なトカマクプラズマ中で計算し、各準位の占有数密度の時間・空間的変化を求めた。 2.閉じ込め磁場によるゼーマン効果、それに粒子がこの磁力線を横切る時にうけるvxB電場によるシュタルク効果を計算して、レーザー誘起蛍光のシュタルク・ゼーマンパターンを求めた。具体的には、ヘリウムの三重項準安定準位からレーザーによる禁制励起を対象として計測の可能性を示した。また、リチウム中性粒子ビームについてはシュタルク効果による禁制励起の偏光成分が計算できるようにした。 3.ヘリウムについて再結合過程を調べるため、衝突・放射モデルにもとずいた多元連立方程式を導いてその数値解を求めた。
|