研究概要 |
大電力用の高周波窓は、普通大気圧と超高真空とを仕切り、数kW/cm^2程度の高電力密度で高周波を通過させるように設計されている。プラズマ生成・加熱用としては、核融合領域で使用されるものがあるが、これは水素(重水素、三重水素含む)プラズマを対照としているため、金属やセラミックスは腐蝕を受けることはない。近年半導体の分野でプラズマ・プロセシングが盛んになってきたが、こヽでは化学的に活性の高いガス等(F,Cl,O_2)が用いられるので、従来の設計のまヽでは腐蝕によって極めて短時間の間に破壊が起きる。 本研究では、化学的に安定度の高いCr_2O_3薄膜に着目し、これを従来使用されている高電力高周波窓に付着させて耐腐蝕性を大巾に増そうとする着想をテストする。核融合の放電洗浄用として筆者が確立した同軸窓(NTT企画39D同軸線路用)をテスト・サンプルに選んだ。アルゴン・酸素混合プラズマ存在下でクロムをマグネトロン・スパッタし、同軸窓表面にクロム酸化物薄膜をつけた。予備実験からの推定では膜圧は約3000Åであり、XPS分析によれば、化学構造はCr_2O_3となっている。 予備的なプラズマの照射テストは酵素のECRプラズマ生成装置を用いて行なった。従来のCr_2O_3膜の被覆をしない場合は、窓の寿命は約10時間であったのに比べ、被覆したものは約60時間照射の後も表面に何等の変質も認められず、安定に作動した。現在尚次の作動ラストを行なっており、本研究の予想は略々的中していると言えよう。
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