研究概要 |
従来プラズマと異なり同程度の質量の正負イオンからなるプラズマ状態の達成の研究を続行した。実験には13.56MHz高周波プラズマとホロー陰極放電を適用した。一方、理論的には無電子プラズマにおいて浮遊電位、安定なシース形成条件を明らかにする研究を行った。さらに、天然のD層下部、夜間の状態を正負イオン等価質量の高度分布を考慮し解析し直し負イオン含有度について明かにした。 高周波プラズマでは平行平板電極にプリッジ型マッチング回路を経て浮動電極系でSmCo磁石による多極磁場により効率良く閉じ込めたソースプラズマの状態を精密に測定した。測定にはプローブ法、レーザー光ガルバノ法、質量分析法を適用した。これまでの実験でターゲット側に電子の含有率が10^<-4>以下の無電子プラズマが出来たが,再現性や安定性に問題があった。同一の圧力、パワーでもマッチング条件によって特にプラズマの電位が左右されこれによってソース部の負イオン密度が影響されることが判明した。無電子プラズマ生成のための当初のアイデイアは基本的には正しいが、応用的にいくつかの問題を残した。 一方、無電子プラズマの大きい特徴と考えられる光制御特性を解明するため負イオン含有率の高いホロー陰極放電で実験を行った。Ar^+レーザー、ダイオードレーザーを適用して光脱離した電子のエネルギー分布を測定した結果、プラズマの熱的電子と同程度の温度に加熱されていることが分った。上記RFプラズマでもYAGレーザー照射でパルス応答を観測するとレーザー時間幅に比べ10^4程度の長い過渡現象が生じることが分かった。cwレーザーでの速やかなエネルギー緩和やパルスレーザーでの適渡現象は負イオンプラズマ特有の分散の為と考えられる。 研究成果の一部で特に無電子プラズマに関し、Electron-Free PlasmaとしてPlenum社から出版の機会を得た。
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