研究概要 |
以下,交付申請書に対応してまとめる. 1.得られた新たな知見 本研究では,自然物や現象のCGによるビジュアル・シミュレ-ション法の開発に関する研究の一環として,生長環境に応じた形状のシミュレ-ションを可能とする樹木の生長モデルの開発を行った.本研究により,自然な視覚的印象をもった樹形,すなわち丸い樹冠,枝垂れ,複雑な枝振り,および特徴的な幹の“流れ"をもった樹形の生成には,以下の性質を仮定した生長モデルが有効であることが分かった. (1)受光量不足による枝の枯死,(2)枝先の向日性,(3)潜伏芽の休眠打破,(4)頂芽優勢,(5)仮軸生長 2.実施項目について 本研究を進めるにあたり,北海道立工業試験場と同林業試験場の研究者らとの意見交換を行なった.(1)受光量および受光方向の高速計算法を開発した.(2)受光量不足による枝の枯死と向日性の性質を生長モデルに組み込み,その有効性の検討を行なった.(3)枝の活性期を考慮し,枯れ枝の残存性や力枝の存在を生長モデルに組み込んだ.(4)植物ホルモンの存在を仮定し,潜伏芽の休眠打破,頂芽優勢,仮軸生長の制御を行なう生長モデルを開発した.これにより,幼木から老木までの樹形が複雑化する生長シミュレ-ションが行えた.(5)風による樹木の“揺らぎ"のシミュレ-ション法について基礎的検討を行なった. 3.成果の公表について (1)情報処理学会「グラフィクスCAD」集中研究集会(テ-マ:動物と植物のCG表現とその応用)で講演発表を行なった.(2)樹木の生長モデルの有効性をデモンストレ-ションするためのCG作品(スライド)をACMーSIGGRAPH'92の技術スライド部門に応募した.(3)さらに今後,国際会議や学術雑誌に論文を投稿する予定である.
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