研究概要 |
<目的>ワークステーションやパーソナルコンピュータではアイコン(絵シンボル)を用いたユーザインタフェースが一般的となってきている.しかし,システム定義のアイコンの意味とユーザが受け取るアイコンの意味との食い違いが誤解や誤操作の原因の一つとなっている.本研究では,アイコンの意味に関して,(1)システム定義での意味,(2)ユーザの立場での意味,について実験的検討を行ない,アイコニック・ユーザインタフェースにおけるユーザの誤解や錯誤を取り除くための知見を得ることを目的としている. <経過および成果>(1)研究遂行のための実験環境として,アイコンシステム構築・実行環境をワークステーション上に構築した.アイコンはデータと機能を兼備えており,他のアイコンと重ね合わせられたときに適切な機能が実行される.(2)応用アイコンの作成を容易にするために"リソース"の考えを導入し,アイコン作成ツールを開発した,これより,ユーザの受ける意味に近い意味をもつ応用アイコンが作成できると共に,アイコンシステムの拡張性が得られた.(3)リソースはアイコンに比べて小さな粒度をもつオブジェクトであり,この導入によってアイコン間のデータ交換の一貫性が保たれるようになった.(4)ユーザの選んだアイコンの集合に対し、その意味をアイコンの交換するメッセージに基づいて解釈する方法を検討した.これにより,複数のアイコンに同一の処理や,1つのアイコンに異なる処理を施すことが可能になった.(5)アイコン間の意味的距離を,アイコンの組の使用頻度と履歴に基づいて求める方法を考察した,その結果作業に必要なアイコンを選択的にユーザに提供できる見通しを得た.
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