研究概要 |
(1)エンジニアリングワ-クステ-ションNEWSー3410を購入し,既設の並列計算機Coral68Kでの処理結果を,このワ-クステ-ションのディスプレイに図形表示できるようにするためのソフトウェアを開発した.その結果,256×256格子面上の配線問題の処理結果を表示すると共に,これをプリンタにハ-ドコピ-として記録することが可能にになった. (2)1層の配線面を2層に拡張し,より現実的な問題に対処できるようにした.もともと競合プロセッサ方式による配線問題の並列処理プログラムは分散メモリ型マルチプロセッサを念頭に考えたものであるが,この処理方式が並列計算機の構造にどの程度の普遍性をもつかを検証するために,学外の共有メモリ型マルチプロセッサTOPー1を借用してプログラムを実行し,性能評価を行った.その結果,競合プロセッサ方式はむしろ共有メモリ型の方が効率よく実行できることが確認された.その理由はマスタ-・スレ-ブ間の通信時間が長いと,その間に計算される配線が衝突する可能性が増えるために,再配線回数が増加することにある.従って今後は通信量を小さくするようなアルゴリズムを研究することが必要である. (3)マスタ-・スレ-ブ間の通信が,任意の組合せのプロセッサ間の通信よりも圧倒的に多い,競合プロセッサ方式の並列処理を行うのに適した超並列計算機のア-キテクチャについて研究した.プロセッサ数が数千台,数万台の超並列計算機は分散メモリ型で実現するのが妥当であるが,それに用いる相互結合網は単一の結合網でなく,階層的に構成する必要があるものと思われる.そこで各種の階層網について検討した結果,新しい階層構造相互結合網Mandalaを提案し,その性能について研究した.Mandalaは完全結合網により構成されるクラスタを,更に完全結合することにより,上位のレベルのクラスタを構成することを繰り返して,大規模な結合網を構成するもので,次数がノ-ド数に依存せず,一定に抑えられ,局所通信に威力を発揮することが確かめらた.次年度に実際に通信実験を行って性能評価を行うため,小規模あ並列計算機のプロトタイプを設計した. (4)配線問題だけではなく,さらに広範な応用分野の問題に競合プロセッサ方式を適用するための方策を検討するため,2,3の基本的な探索問題の並列処理方式を研究した.その結果,ランダム性の導入が,競合プロセッサ方式にとって,本質的であることが明らかになった.
|