研究概要 |
本年度の研究では,まずグローバル・バスを利用した超細粒度並列アルゴリズムの設計手法を1次元シストリックアレイ上にて確立し,並列アルゴリズムの設計が非常に簡潔になることが明らかになった。同時に同手法を利用して設計された並列アルゴリズムの正当性も容易に証明することができる。2次元アレイ上でも同様なことが成立すると予想されるため,線形計算及びグラフ問題を効率よく解決する並列アルゴリズムの設計において,グローバル・バスを利用することを前年度に引き続き検討中である。2次元アレイ上では,連結要素ラベリングアルゴリズムの設計においてグローバル・バスの利用が有効なことが判明し,現在その結果をまとめている段階である。 さらに耐故障性に関しては,前年度に得られた1次元アレイ上での耐故障性同期化アルゴリズムをさらに改良し,より一般的な故障パターンを有する場合でも非常に小さなオーバヘッドで同期可能なことが判明した。この結果は1993年1月ドイツ国Dagstuhlで開催された“Dagstuhl International Seminar on Automata Theory:Distributed Models"にて研究発表された。2次元メシュ上でも同様な耐故障性同期アルゴリズムの設計を試みているが最終段階には至っていない。 最後に現有設備である256個のトランスピュータから構成される並列計算機上に,プロセッサ間通信並びに処理に要する時間をモニタするシステムを構築した。モニタリング結果はグラフィックディスプレイ上に表示され、良好なパラレルプログラミング環境を提供している。当システムを利用して,細粒度並列アルゴリズム設計におけるデータ転送と局所計算における両者のバランシングの検討が容易になり,シストリック・アーキテクチャの効率評価が進むものと思われる。
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