研究概要 |
1)ヒトにおける遺伝的糖不耐性症のモデル動物を育成する目的で、野生食虫類における二糖類消化酵素欠損動物の検索を行った。その結果、スクラーゼ活性の欠損した個体を発見したがイソマルターゼ、マルターゼ、トレハラーゼの欠損型はみいだせなかった。 2)トガリネスミ科ジネスミ亜科2種をみてみるとスンクスでは多良間島産野生個体すべて(13匹)がスクラーゼ活性を欠損していた。スリランカ産、バングラデシュ産、沖縄本島産、徳之島産には他地域では欠損型は見い出せなかった。ニホンジネズミ(2地域4匹)については活性がみられた。3)トガリネズミ科トガリネズミ亜科6種をみてみると北海道東部で採集したオオアシトガリネズミ(1地域7匹)、バイカルトガリネズミ(1地域1匹)、ヒメトガリネズミ(1地域8匹)、本州産のアズミトガリネズミ(1地域2匹)、シントウトガリネズ(2地域5匹)、佐渡島産のサドトガリネズミ(1地域4匹)では測定した全ての個体でスクラーゼの活性が欠損していた。4)分類上論争のある2種では、台湾産モグラジネズミ(1地域3匹)、青森産カワネズミ(1地域2匹)についてはずべての個体にスクラーゼ活性が欠損していた。5)モグラ科4種ではヒミズ(6地域12匹)、ヒメヒミズ(2地域12匹)、アズマモグラ(1地域1匹)、コウベモグラ(1地域6匹)の全ての個体で酵素活性がみられた。6)スクラーゼの酵素活性欠損モデル動物では多良間島産(TR)、ミュータント系(NJ,MI)、長崎産由来のNAGのスンクス各ラインを育成した。
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