動物実験に伴う腎症候性出血熱(HFRS)の要因である汚染動物、特にラットにおけるウイルス伝播様式を明らかにする目的で実験を行った。 6〜8週齢ラットにHFRS VirusBー1株を接種し、高抗体価を保有した雌を交配後、その新生仔を産仔交換し、胎盤移行抗体及び乳汁移行抗体のvirus感染防御能に与える影響について調べた。その結果両移行抗体とも新生仔に対し感染防御能を与えた。 胎盤移行抗体は生後より逐次低下し60日で抗体価陰性となる。一方乳汁移行抗体は免疫母体からの移行により一次的に抗体価は上昇するが順次低下し120日で抗体価陰性となり胎盤移行抗体、乳汁移行抗体とも新生仔の死亡及びvirus感染を防御することがめかとなった。 更に、新生仔への接種条件を変え両移行抗体のvirus感染防御能を見た。胎盤移行抗体は新生仔へのvirus接種量を100倍として時、また乳汁移行抗体はvirus接種一定時間後に免疫母体に哺育させたところ両移行抗体とも新生仔の死亡は防御したがvirus感染は防御し得なかった。 野生げっ歯動物A.agrariusについても、産仔交配による胎盤移行抗体、乳汁移行抗体は新生仔のvirus感染防御能をもつことが明かになりつつある。
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