研究課題/領域番号 |
03680043
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
島村 和男 東海大学, 医学部, 講師 (00119679)
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研究分担者 |
玉置 憲一 東海大学, 医学部, 教授 (50055860)
上山 義人 東海大学, 医学部, 助教授 (30072408)
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キーワード | X-linked immunodeficiehcy / NK活性 / 造血細胞 / 異種移植拒絶 / ADCC |
研究概要 |
ヌードマウス移植ヒト腫瘍系は腫瘍の宿主に与える影響の研究や制ガン剤の効果判定等に広く使われてきた。造血系細胞は正常細胞でも増殖能が高くcolony stimulating factor(CSF)に反応してin vitroでcolonyの形成が認められるにもかかわらず、ヒト腫瘍のうち造血系腫瘍はヌードマウスへの移植がもっとも困難なものの一つである。ヒトの正常及び腫瘍造血系細胞の異種動物への移植はヒト血造系細胞の増殖分化を含めたin vivoでの動態解明や、造血系腫瘍制圧に必要不可欠な制ガン剤の開発に大きな力となりうる。我々はヒト腫瘍のヌードマウスへの異種移植の際の拒絶にはNK細胞がエフェクターとして重要であることを突き止めてきたが、造血系腫瘍生着にはNK活性の消失のみでは不十分であった。本研究はヒト造血系細胞の異種移植の際の拒絶機序に関与する諸因子を明らかにすることを目的として行われ、以下のことが証明された。 1)NK活性の障害のあるC57BL/6 bg/bg nudeではC57BL/6N nudeに比較してヒトT cell lymphomaの移植率が良かったことから、一部のヒト造血系細胞のヌードマウスへの移植にはNK活性が影響する。 2)xid遺伝子の導入によりB細胞障害を発現したヌードマウスでは造血系腫瘍細胞の可移植性が向上した。この可移植性の向上は、ヒト造血系腫瘍移植ヌードマウス血清中には移植細胞に対する抗体が存在するが、xidを発現するヌードマウス中には移植ヒト細胞に対する抗体がほとんど形成されないことによると考えられた。 3)造血系細胞の拒絶にはADCCが関与し、ADCCのエフェクター細胞はNK細胞と同じ免疫学的特徴を有していた。 4)造血系細胞の移植にはB細胞障害以外のCBA/Nの遺伝的性質が関与していると考えられた。
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