研究概要 |
本研究は一次元アルカリイオン導電体,AxGa_8Ga_<8+x>Ti_<16ーx>O_<56>(AGGTO,KGGTO for A=K,RGGTO for A=Rb)フラックス法により育成したAsーgrownの単結晶についてイオン伝導度を低下させる原因となる過剰酸素を擬四面体形成によりトンネル中に固定するGa^<3+>イオンを熱処理をする事なく排除しイオン伝導度を改善することを目的としてGa^<3+>の一部を2価のMg^<2+>と置換し伝導イオンの濃度を増加させることにより伝導路に存在するGaーO対(ブロック)を除去することおよびRGGTOではGaーO対の濃度が低いことに注目し、KGGTOにRbを添加してGaーO対の濃度を低くすることを試みた。またAlを添加して格子定数を減少させ、熱処理の効果と格子定数の相関性を調べることも試みた。Mg,Alをそれぞれ最高約20mol%,50mol%までGaと置換するように,またRbをKと最高約20mol%置換するように配合しフラックス法により単結晶を育成した。100Hz〜1GHzの周波数範囲では,単結晶のCー面にブロッキング電極を金の真空蒸着により構成し,アドミタンス測定より,9.375GHzおよび26〜38GHzの周波数では高出力の掃引発信器を用いこれに周波数逓倍器を併用して信号源を構成して定在波法によりCー軸方向の複素電気伝導度を測定した。複素イオン伝導度の温度特性および周波数特性を良く説明できる新しいイオン伝導モデルを提案し,添加の効果を評価することを試みたところ以下の結論を得た。(1)Mg添加によりイオン伝導度は増加したが,アルカリイオンの濃度の増加によるものでありブロックの濃度はほとんど変化しなかった。(2)Rb添加によりRb^+イオンが20%までK^+イオンと置換した。イオン伝導モデルよりブロックは60〜80%除去されることが分かった。(3)Al添加によりGaの半分程度をAlで置換すると熱処理によるアルカリイオン伝導の改善は見られなかった。これは格子定数が減少したためにGa^<3+>イオンが正規の四面体位置に移動することができないためであると考えられる。
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