フラックス法により育成したアルカリチタノガレイト単結晶についてGa^<3+>イオンの一部を2価のMg^<2+>イオンと置換し、イオン伝導度を低下させる原因となるGa-O対(ブロック)を除去すること、RGGTOではGa-O対の濃度が低いことに注目し、KGGTOにRbを添加してGa-O対の濃度を低くすることを試みた。またAlを添加して格子定数を減少させ、熱処理の効果と格子定数の相関性を調べることも試みた。得られた単結晶のc-軸方向の10Hz〜39GHzの周波数範囲における複素電気伝導度の周波数特性をよく説明できる新しいイオン伝導の機構のモデルを提案し、熱処理の効果、添加の効果評価することを試みたところ、以下の結論を得た。(1)Gaー0対の濃度とイオン伝導の大きさとの相関性を説明することができた。(2)Rb添加によりRb^+イオンが20%までK^+イオンと置換する。(1)の結果より、熱処理を施したRGGTOではGaーO対間の距離が1.5μm以上である。(3)格子定数が減少するとGa^<3+>イオンが正規の四面体位置に移動することができい。マイクロ波測定周波数範囲の上限値を、3倍周波数逓倍器を導入することにより、従来の38GHzから59GHzまで拡張し、伝導アルカリイオンの質量の効果が周波数の増加に伴う複素電気伝導度の実数部の減少と名って現れることを確認することを試みた。全測定周波数範囲おける複素伝導度の周波数依存性は、2個のGaーO対ブロックで挟まれたアルカリイオンがつくるクラスターの振動数の電界下で古典的調和振動子の応答を反映していると仮定した運動方程式で記述されることが確認された。これによりCGGTO中の伝導アルカリイオンの濃度は化学分析値とほぼ一致した。以上よりAGGTOの直流イオン伝導を妨げている一因は、Gaー0対のブロックを除去することにより直流イオン伝導の発現の可能性があることが判明した。
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