食物繊維は第六の栄養素として様々な観点から注目されている。食物繊維の大部分は植物性食品のいわゆる植物細胞壁に由来すると言っても過言ではない。しかし、これまで食品の種類による含有多糖の違いや、構造の違いあるいは微細構造に関する研究例は少ない。そこで、まず各種植物性食品(穀類、いも類、豆類、野菜類など)を用いて、系統的な構成多糖の分析を行った。これまで得られた知見は以下のとおりである。 1.双子葉植物に属する植物は、全般的に水不溶性食物繊維を構成する多糖類として、セルロ-ス以外にアラビノガラクタンもしくはガラクタン系多糖類及びペクチン系多糖類が多い。他方、単子葉植物に属するものでは、ペクチン系多糖類が少ないことがわかった。 2.水可溶性多糖類としては、主にペクチン系多糖類が多いが、他に水可溶性食物繊維に属するフラクタンを含むもの(タマネギ、ゴボウ、およびニンニク)があった。特にタマネギでは乾物の1/2〜1/3を占めることがわかった。 3.野菜類の葉菜類(キャベツ、ハクサイ、レタス、チンゲンサイおよびホウレンソウ)では、チンゲンサイを除き、食物繊維多糖類量に匹敵するかもしくはそれ以上の単糖類およびオリゴ糖類が多く含まれることがわかった。 4.キャベツ、ハクサイ、レタス等には、構成糖としてフコ-スを多く含む多糖の存在がわかった。 以上の知見をもとに、今後は、植物性食品の構成多糖類による系統的な分類を明確にし、それぞれのなかから特徴的な多糖類の微細構造を酵素を用いて解析する予定である。
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