本年は、食物繊維構成多糖の一つキシログルカンの微細構造について調べた。 水不溶性食物繊維含有量が高いとされているゴボウ(Arctium lappa L.)の24%水酸化カリウム抽出画分からキシログルカンを分離・精製した。メチル化分析、酵素による断片分析等の結果から、本多糖はβ-(1→4)-D__=-グルカンを主鎖とし、そのグルコース残基の約75%にα-D__=-xylopyranosyl残基、α-L__=-fucopyranosyl-(1→2)-β-D__=-galactopyranosyl-(1→2)-α-D__=-xylopyranosyl残基及びβ-D__=-galactopyranosyl-(1→2)-α-D__=-xylopyranosyl残基が0-6位で側鎖として結合した構造であると推定した。また、おもに、七糖(Glc:Xyl=4:3)、九糖(Glc:Xyl:Gal:Fuc=4:3:1:1)及び十糖(Glc:Xyl:Gal:Fuc=4:3:2:1)が約14:12:5のモル比で構造オリゴ糖単位となっていると推定した。 また、葉菜類のなかから日常の食生活で摂取する機会の多いキャベツ、ハクサイ、レタス、チンゲンサイおよびホウレンソウを選び、それぞれの可食部細胞壁から調製したキシログルカン画分(24%KOH抽出物、水可溶性・中性多糖画分)を用いて、構成糖、ヨード複合体吸収スペクトルおよび糖結合様式等を比較した。いずれのキシログルカンもフコース、キシロース、ガラクトースおよびグルコースから構成されており、その化学構造は互いに非常に類似していることがわかった。いずれも上記オリゴキシログルカン七糖、九糖および十糖を構成単位としており豆科植物キシログルカン型であった。
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