積雪地域である新潟県では、木造住宅において冬季の結露被害を訴える住宅があり、それが近年増加してきていることから、新潟市及び長岡市で、近年開発された住宅地域を対象としたアンケ-ト調査及び温湿度の実態測定を行った。調査用紙は住宅の構造、平面計画、暖房方法、冬季の生活様式、結露発生状況などの項的により構成し、1991年7〜8月に実施し、79戸より回答を得た(回収率65.8%)。また、実態測定はアンケ-ト調査の対象住宅の中から結露被害のある住宅3戸に依頼し、1991年12月に温湿度の測定及び生活実態の調査を実施した。主な結果は次の通りである。 1.アンケ-ト調査:(1)断熱材の厚さは50mmと100mmが多く、4割の住戸で複層ガラスや二重窓を取り入れていた。(2)結露の発生状況から「ほとんどなし:N、軽度:L、重度:H」の3段階に分類したところ、H段階が60%あり、外壁断熱材50mmの方がH段階が多かった。(3)結露発生場所については、断熱材50mmは暖房室、100mmの方は非暖房室が多かった。(4)開放型暖房器具を長時間使用している住戸、密閉型の短時間使用にH段階が多くみられた。 2.実態測定:(1)壁面での結露被害のあった室内では、密閉型暖房器具使用にも関わらず短時間暖房のため、壁面温度は露点以下となることが多かった。(2)出窓の壁面は他の壁面より低温のため結露が発生しており、断熱性能を高める工法等の工夫が必要である。(3)換気口に近い壁面は、換気により露点以下となることが多かった。 研究期間の関係上、調査より得られた平面計画からの分析及び実態測定の分析がまだ不十分であるので、今後詳細に分析を行う計画である。また、測定対象住宅を追加し、より実態に即した結露防止策の提案をしたいと考えている。
|