研究概要 |
界面活性剤の浸透・湿潤性の良否は,洗浄,布の染色・加工,高速印刷その他広く界面活性剤を加えた溶液処理過程をともなう分野で基本的に重要な問題である。特に高速処理技術の進んだ今日,溶液浸透の温度現象が重要となる。われわれが既に開発した浸透の過渡現象測定装置を改良して,これまで動力学的測定の困難だった1秒以下の布への浸透の過渡現象を各種界面活性剤水溶液について検討した結果は以下の通りである。 1.垂直浸透用測定装置の電極部と液送部を中心に改良を加え,精度よく測定できるようになった。 2.ポリエステル,綿などの試験布へのアニオン性界面活性剤ラウリル硫酸ナトリウム,カチオン性界面活性剤ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド,非イオン性界面活性剤ポリオキシエチレンラウリルエ-テル(エチレンオキサイド平均付加モル数が4.3〜17.9)などの水溶液の浸透過渡特性および全域特性を明らかにした。 3.ポリエステル布をラウリル硫酸ナトリウムやヘキサデシルリメチルアンモニウムブロミド水溶液に浸漬・乾燥したものは,処理濃度に依存した浸透時性を示す。 4.本実験の系に最も近い理論式を用いて,溶液の浸透過程における繊維表面の性貭の変化,界面活性剤処理布の繊維表面の性貭の変化,すなわち界面活性剤の吸着と接触角の変化を明らかにした。 5.過濃期の浸透速度から界面活性剤の浸透性を評価できること,従来から用いられた浸透平衡水位で評価することは,浸透に伴って試料の状態や表面の性貭が変化するようなものに対しては危険であることが明らかになった。
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