[研究目的]妊娠時のタンパク質源を小麦グルテンのみとした場合に、母体及び出生子の発育に及ぼす影響並びに授乳期間中は正常食に切り換えた場合に離乳子に及ぼす影響について検討した。 [研究計画・方法]妊娠ラットに小麦グルテンをタンパク質レベル5%、10%、20%の食餌と5%と10%レベルにL-リジンをそれぞれ0.82%、0.75%添加した食餌を妊娠全期間投与し、授乳期間中は正常食に切り換えた。タンパク質何%レベルで哺育が可能か、さらに離乳子の発育については、妊娠中のタンパク質制限の影響が授乳中の母体に正常食を与えることによって緩和されるか否かを検討した。精製全卵タンパク質10%食を対照群とした。 [研究結果]すべての小麦グルテン群において、妊娠維持、分娩が可能であったが、小麦グルテン5%群では母ラットの出産状態、出生子の発育は対照群より著しく劣った。小麦グルテン5%のリジン添加群及び10%群においても対照群より有意に劣った。小麦グルテン10%群において、リジンの補足効果が顕著にみられた。授乳期間中の子の生存率は、小麦グルテン5%レベルではG5群46.5%、G5+L群55.3%と低かったが、10%レベルではG10群65.1%、G10+L群66.7%となり、10%レベルでは5%レベルに比べてかなり改善がみられた。小麦グルテン20%群では生存率100%で哺育は完全に可能であった。離乳時の子の発育はG5+L群とG10群は対照群より有意に劣った。G5群、G10+L群、G20群では対照群とほぼ同程度の発育がみられた。離乳子の発育および生存率からみると、授乳期の栄養を正常食に変換する場合は、リジンを添加した場合は小麦グルテン10%レベルで、リジン無添加の場合は小麦グルテン20%レベルで対照群にほぼ匹敵する結果が得られた。
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