1)大阪市内の都心マンション及び公営住宅、大阪府周辺の郊外住宅の3種類の住宅の居住者(主婦)を対象に調査を実施し、合計315名の有効回答を得た。次いで、和歌山県美里町の山村居住者(主婦)を対象に調査を実施し、115名の有効回答を得た。 2)上記の調査で得られたデータについて因子分折を行なった結果、住空間デザイン志向の型として「伝統和風志向」型、「近代洋風志向」型、「反伝統脱近代洋風志向」型の3つが存在することが確認された。 3)「伝統和風志向」型は年令層が高くなるにつれて増加するのに対して、「反伝統脱近代洋風志向」型はその逆の傾向を示すこと、「近代洋風志向」型を支持する者は年令的な特徴がみられないこと、が明らかになった。 4)都市居住者の場合、住宅階層(都心マンション、公営住宅、郊外住宅)別にみた住空間デザイン志向の差異は認められず、むしろ、都市居住者と山村居住者の差異が著しいことが明らかになった。すなわち、都市居住者は「伝統和風」を志向する者より「反伝統脱近代洋風」を志向する者の方が多く、山村居住者は「反伝統脱近代洋風」を志向する者より「伝統和風」を志向する者が多いことが明らかになった。 5)上記4)の結果は、山村居住者のデータが少ない段階での結果であるため、和歌山県中津村の山村居住者と滋賀県近江八幡市浅小井町の平地農村居住者を対象に追加調査を実施した。それらのデータを加えて分析を行なった結果、4)に述べた傾向が追認された。また、同じ農村部でも、山村居住者と平地農村居住の間には住空間デザイン志向に差異がないことが明らかになった。
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