平成5年度には、平成4年度までに収集した調査データの集計・分析を継続して行ない、研究成果報告書のとりまとめを行なった。平成5年度に新たに得られた知見は以下の通りである。 1)住宅の外観デザイン志向には対立しあう2つの型がある。一つは伝統志向、反現代志向の「和風志向」型で、もう一つは反伝統志向、現代志向「ペンション志向」型である。外観デザイン志向の型を規定する大きな要因は年齢層と都市・農山村という居住地の差異である。すなわち、「和風志向」型は年齢が高くなるにつれて増加し、都市より農山村の方が多い。逆に、「ペンション志向」型は年齢が高くなるにつれて減少し、農山村より都市の方が多い。「ペンション志向」型は、都市では40歳代までに圧倒的に多く、農山村でも20歳代に多くなっている。人数の上で「ペンション志向」型と「和風志向」型が拮抗する年齢層は、都市では40歳代後半から50歳代前半、農山村では30歳代である。 2)住宅の室内デザイン志向にも「伝統志向」型と「現代志向」型の2つの対立しある型がある。室内デザイン志向の型を規定する大きな要因は年齢層と都市・農山村という居住地の差異で、外観デザイン志向の場合と似たような傾向を持つ。しかし、「伝統志向」型と「現代志向」型は、都市では20歳代から40歳代までの間で、農山村では20歳代で拮抗した状態になっている。このことは若年層にも伝統志向が根強く継承されていることを意味しており、この点で外観デザイン志向と異なる特徴点を持っている。
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