研究概要 |
平成3年度は、以下の項目について検討した。 1.分子量及び官能基を異にするペクチンの調製と定量 分子量及び官能基を異にするペクチンの調製は、National Formular(NF)(Sunkist Growers社製)ペクチンを原試料とし、完全に溶解した4%水溶液を塩酸でpH0.5に調整後、60℃の温浴中で2〜8時間脱メチル化を行った後、3倍量のエチルアルコ-ル中に沈殿させ、エチルアルコ-ル、アセトンで順次脱水し、乾燥後粉末化させて調製した。調製ペクチンのガラクチュロン酸含量は、82.2%〜84.4%で脱メチル化が進行するに従ってやや減少した。メトキシル基含量も同様に減少しオリジナル(12.08%)、2時間(10.62%)、4時間(6.93%)、6時間(6.41%)、8時間(5.4%)であった。中性糖はラムノ-ス、アラビノ-ス、キシロ-ス、ガラクト-ス、グルコ-スが確認された。遊離型のカルボキシル基は4.06%〜1.94%、エステル型のカルボキシル基は12.07%〜10.3%であった。分子量と分子量分布の測定(本年度科学研究費交付による)は、重量平均分子量(Mw)は110万〜15万と脱メチル化が進行するに従い減少した。ピ-クトップ時の分子量は12万〜4万と減少し、酸による脱メチル化とともに分子全体の分解も進行していることが示唆された。 2.分子量及び官能基を異にするペクチンのレオロジ-的性質におよぼす金属イオン(Ca^<2+>,Mg^<2+>,Na^+,K^+)の影響について、ゾル-ゲル転移過程の物性をストレスレオメ-タ-により検討した。調製LMペクチンのCa^<2+>による会合がスム-ズに進行し、脱メチル化が進行するに従い瞬間弾性率は上昇したが、遅延弾性率の変化はわずかであるのに対し、遅延粘性率、定常粘性率は著しく上昇した。また、共存する1価のカチオンの影響ではK^+は全ての要素を上昇させるのに対し、Na^+は逆に低下させ興味ある挙動を示した。
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