ポリエステル繊維(PET)に難燃性モノマーとしてビニルホスホナートオリゴマー(Fyrol76)およびアクリルアミド(AA)を用い、電子線照射による難燃化について検討した。電子線量は3KGoyとし、パッドスチーム後電子線照射した場合と、パッド後電子線照射した場合の付着率、P・N量、酸素指数(LOI)について比較検討した。付着率、P・N量については、パッドスチーム電子線照射法の方が高い傾向にあるが湯洗い後の低下は著しく、パッド電子線照射法の場合を下回る。難燃性の指標であるLOI値については、パッド電子線照射法では、Fyrol76・AAの混合化に関係なくほぼ22〜24を示した。また、湯洗いによる低下もほとんどみられない。一方、パッドスチーム電子線照射法はFyrol76の混合比が高くなるにつれ、LOI値も高くなる.Fyrol76 100%ではLOI30を示し、限界酸素指数値28を上回り、十分な難燃性が得られた。湯洗いによりLOI値は若干低下するが、パッド電子線照射法の場合よりも高い。このことから、電子線照射法ではパッド後さらにスチーミングをすることにより、より高い難燃性が得られるといえる。PET/線混紡繊維においてもパッドスチーム法およびパッドスチーム電子線照射法について検討したところ、パッドスチーム法では付着効率は湯洗い後においても100%以上を示し、効率よく付着している。また、LOI値はFyrol76・AAの混合比に関係なくほぼ一定値を示した。一方、パッドスチーム電子線照射法では湯洗い後の付着効率は50〜60%とパッドスチーム法に比較して低い。LOI値は、Fyrol76の混合比に伴い、大きい傾向にある.パッドスチーム法ではPとNの相乗作用が認められるが、パッドスチーム電子線照射法では認められなかった。Pyr-Gcによる熱分解ガスの分析により、電子線照射により綿成分にFyrol76が反応しているのではないかと推測された.
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